こんばんは えむエムです。今日は牛肉の記事を書いていきたいと思います。
私は10年間ほど大手食品企業で輸入牛肉を専門に扱ってきたので、その時に得た知識をブログに記載していきます。
みなさんには、スーパーや外食で牛肉を食べるときの参考にしていただければ幸いです。
[どういった国から輸入されているのか]
よく知られているのはオーストラリア産で通称「オージービーフ」ですよね。
次に有名なのはステーキの本場アメリカ産だと思います。
実質日本で流通している数量はほぼこの2か国がシェアを分け合っているのですが、もっと細かくみていくと・・・
カナダ産
メキシコ産
パナマ産
バヌアツ産 などがあります。
[グラスフェッドとグレインフェッドとは]
またよく聞くのが牧草肥育や穀物肥育といった言葉ですがこれは業界用語で
牧草肥育=「グラス(Grass)フェッドビーフ」
穀物肥育=「グレイン(Grain)フェッドビーフ」 と呼ばれます。
一般的にはグラスフェッドビーフは独特のにおい(青臭さ)があり、グレインフェッドはにおいが少ないことから、日本人には後者のグレインフェッドビーフが好まれます。
また、日本人の好む脂のサシはグレインフェッドビーフに入りやすい傾向があります、しかし、実はある国のグラスフェッドビーフにはサシが入ることもあります。
あまり知られていませんが、アメリカ産・カナダ産・メキシコ産の牛肉はほぼ100%グレインフェッドビーフになります。
オーストラリア産は両方あります。細かくはもっとマニアックなブログ記事を書きますね(笑)
ニュージーランド産は厳密にはグレインフェッドビーフもありますが、多くはグラスフェッドビーフが輸入されています。
ポーランド・パナマ・バヌアツはほぼ100%グラスフェッドビーフになります。
[それぞれの国の特徴]
では日本の輸入量上位4ヵ国の特徴を簡単に記載していきます。
・アメリカ産
先ほども記載しましたが、アメリカ産牛肉はほぼ100%グレインフェッドです。
良い特徴としては、餌がコーン主体なため、味が濃く、風味もしっかりしているというのが業界の評価です。
悪い特徴としては、オーストやニュージーに比べ、衛生面がやや雑で菌数が多いと言われており、冷蔵牛肉の賞味期限も約10日ほど短いです。
・カナダ産
カナダもアメリカと同じでほぼ100%グレインフェッドです。牛肉の質としてはアメリカと大差はないのですが、餌が大麦系を主体としており、アメリカ産に比べややあっさりしているのが特徴です。
・オーストラリア産
日本に輸入される牛肉でもっともポピュラーであり、グラス・グレイン両方において様々な部位が輸入されています。
外食チェーンやスーパー、または加工品のハンバーグ、レトルトカレーなど、知らず知らずのうちにみなさんの口に入っている原産国です。
最大の魅力は衛生面とトレーサビリティで、世界NO.1と言える国です。日本よりもはるかに洗練された工場で作られており、安全・安心な牛肉と言えます。
特にアメリカから輸入することが事実上不可能な牛肉のは材である「トリミング」はオーストラリア産が圧倒的なシェアを持っており、マクドナルドなどでも使われています。
・ニュージーランド産
さきほど、日本人に好まれるサシはグレインフェッドに入りやすいと記載しましたが、これは穀物のほうが牧草に比べて圧倒的に栄養価が高いことが理由となっています。
そのため、日本の和牛も基本的に穀物で長期間肥育することで、芸術的なサシを作ります。
しかし、業界人のみ知る事実として、ニュージーランドのグラスフェッドビーフにはサシが入ることが多いのです。
その理由はニュージーランドの緯度にあります。
南にあるニュージーランドは気候が涼しく、自然豊かな大地で、他にない栄養価の高い牧草が育ちます。
また、その牧草も牧場主たちが、様々な種をまき、牛に適した牧草を自ら植えていることが多いので、牧草肥育でもニュージーランド産にはサシが入りやすく、味が非常に良いという特徴があります。
[輸入牛肉の魅力とは]
一昔前は和牛=高級、輸入牛肉=安物のイメージが一般的でしたが、最近は赤身ブームの中、輸入牛肉の価値が見直されてきています。
また価格面でも、日本の和牛は生産者の減少で価格がどんどん上昇しているのに対して、輸入牛肉はTPPやEPA、現在アメリカと話合われているTAGなどの経済協定で関税が下がり、価格が安定しやすくなってきております。
そんな輸入牛肉にも餌や国によってさまざまな特徴があります。
その特徴を掴み、それぞれの魅力を理解して、牛肉を食べてもらえると嬉しいです。
今回はあくまで簡単にまとめてみたので、今後はもっと、みなさんに役立つ牛肉の情報を発信していきたいと思います。